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事業承継と経営者保証の解除㉔

【経営者保証を無力化させる社長の自己破産③】

この一件は、いまでも当時の絶望的な緊張感がよみがえるほど、私にとっては苦い記憶です。しかし、この経験は銀行員としての私にお客様を信頼することの難しさを教えてくれる貴重な教訓ともなりました。

おそらく、A社長が善人であったか悪人であったかという詮索に、あまり意味はないはずです。当初からA社長が粉飾を意図していたとは考えにくく、他人を欺いてまで自分の利益を追求するような計算高い人であれば、そもそも安定した職を投げうって家業を継ぐような決断はしなかったでしょう。むしろ、A社長は常識的な判断力が失われるほどに事業の継続を至上命題と受け止めてしまったため、追い詰められていたように感じます。その強い意志を信頼するあまり、重要な兆候を過小に評価してしまった私の責任も小さくはないと反省した一件でした。
じつは、この事例からもわかるように、従来から経営者保証の実効力については問題が指摘されていました。つまり、経営者に対する規律付けという点では一定の効果が認められるものの、倒産した際に自己破産を申請して裁判所に認められれば、債務をまぬかれることができるのです。

また、実際に経営が破綻した段階では、すでに経営者個人の資産も失われているケースが多く、法人の負債を個人が返済するというしくみそのものに無理があるという指摘もなされています。実際、ある調査によると、元経営者により返済された経営者保証付き融資は総額の3〜4パーセントでしかないともいわれます。こうした実態は、経営者保証に対する近年の動きと無関係ではないでしょう。

経営者保証や融資について、ご自身の会社における対応方法など、お気軽にお問い合わせください。金融機関経験者の視点で親身に対応します。初回相談は無料です。

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