【家族も資産を失う倒産の構造②】
◆自宅の売却に追い込まれた父親
江戸時代の素封家にさかのぼるというB家は地元の名士で、一族には事業家もいて、B社長の父親は地域の一等地に複数の不動産を所有する資産管理会社を経営していました。そのころ父親はまだ60代でしたが、いずれは長男のB社長に資産が引き継がれることになるという意識が強かったのか、B社長の事業に対して全面的に協力する姿勢を示していました。融資に際しても、資産管理会社が所有する不動産を担保として提供するという申し出があったため、創業から間もない会社としては異例なほどに多額の融資が行われました。
一方、父親によって十分な担保が提供されたことに加え、信用保証協会による保証も得られたため、融資に際してB社長による経営者保証は必要とされませんでした。
事業用の不動産物件だけでなく、父親は自宅も担保として提供したため、いわば江戸時代から蓄積されたB家の全財産を投じてB社長の創業を応援したようなものでした。しかし、結果として、子息に対する厚意は裏目に出てしまいます。バブル景気の崩壊にともなって高級輸入車の需要が一気に縮小し、一転してB社は販売不振に陥ったのです。そうなると、それまでの積極的な事業展開が大きな負担となり、B社の資金繰りは急速に悪化してしまいました。
高級輸入車は一部で根強い人気があるため、経済環境の変化にかかわらず、その後も一定の需要が安定的に見込まれたはずです。したがって、B社長が急拡大を志向せず、固定費を抑えた身軽なビジネスに転換していれば、事業を続ける道は残されていたのかもしれません。
もっとも、リゾートマンションの開発やホテル経営に進出していなかっただけ傷は浅かったと見るべきなのかもしれませんが、間もなくB社が倒産したことによってB社長も父親も、ほぼすべての財産を失ってしまいました。広大な自宅を売却せざるを得なくなった父親には、その後、おそらく生まれて初めて経験する賃貸アパートでの暮らしが待っていたはずです。
また、B社長がその後、どういう人生を歩んだのかはわかりませんが、自己破産を申請した可能性が高いと思われます。融資額に見合った十分な担保が提供されていたため、銀行に対する経営者保証こそなかったものの、信用保証協会に対する保証債務は残っていたからです。いずれにせよ、B家は担保として提供した大切な資産をすべて失うことになりました。
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